■働くシニアが元気に見えるのはなぜ?

一昔前は、60歳で定年して年金を受給するのが当たり前でした。ところが、厚生労働省の発表している平均寿命は年々伸びており、60歳といえばまだまだ元気で、働いている方も大勢います。むしろ隠居生活を送っている人より、働いている人の方が元気なケースもよくあります。ここでは、働くシニアが元気な理由に迫ります。

☆収入が増えることで余裕が得られる

平成23年度に内閣府が実施した国民生活選好度調査によると、62.2%の人が幸福感を判断する際に重視するのは「家計の状況」だと回答しています。「充実した余暇」「趣味などの生きがい」を幸せの指標としたのは、それぞれ24.2%、22.6%でした。この結果から、幸福であるためには多くの人が経済的にある程度裕福でなければならないと考えていることがわかります。この調査の対象は15歳以上80歳未満なので、シニアだけを対象に実施すれば違った結果が得られるかもしれません。しかし、お金がなければ余暇や生きがいを楽しめないのもまた事実でしょう。仕事をしているシニアが元気でいられるのは、経済的にゆとりがあるからといえます。

参考:内閣府、http://www5.cao.go.jp/seikatsu/senkoudo/senkoudo.html

☆メリハリを持って生活できる

隠居生活では、何時に起きるのか、日中何をするのか、何時に眠るのかなど生活の多くの点を自分で決めなければなりません。それまで仕事一筋で自分の好きな時間をなかなか確保できなかった人にとって、すべてを自分で決められることは最良のことかもしれません。しかし、数週間、数ヶ月なら自由に過ごすことが嬉しくても、そのうち自分で決めることが重荷に感じられるようになる人が多いのも実情でしょう。

働いていると、自ずと生活スタイルが決まり、生活にメリハリがでてきます。自由時間が十分すぎるほどあるために、常に何をするのか選択を迫られるよりも自由時間が限られていた方がかえって好きなことができる人も多いのではないでしょうか。

☆適度な距離感で配偶者との関係も良好に

近年増加傾向にある熟年離婚。その理由は、定年退職した夫が長時間家で過ごすようになったために夫婦間の適度な距離感が崩れてしまうことにあるといわれています。離れていれば気づけなかった互いの嫌な点にも目を向けてしまうかもしれません。ずっと一緒に過ごしていることで、同じ出来事を共有するようになり、話題が少なくなるのも問題です。これに対し、外で働いていれば、その適度な距離感が崩れる心配はほとんどありません。また、外に出ることで刺激を受け、別々の話題を提供できるようになるでしょう。さらに精神的余裕も生まれるので、相手に対して優しく接することができるはずです。このように外で働くことが夫婦間の適度な距離感を維持することにも役立つのです。